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紫外線硬化型FRPシート ウルトラパッチ

ウルトラパッチ

ウルトラパッチとは

 ポリエステルレジンとグラスファイバーを一体化し、フィルムでラミネートした紫外線硬化型FRPシートです。従来のハンドレイアップ法と比べて、レジンと硬化剤の混合ミス等による仕上がりのバラつきがなく、紫外線により短時間で硬化するので、作業はクリーンで簡単、時間がかかりません。また、特殊な道具を必要としませんので、どなたでも補修ができます。

代表的な施工箇所

概要・特長

概要

 スーパー補修材ウルトラパッチはゴムのような柔らかいFRPシートがUV(紫外線)に触れることによって硬化し、シートに含まれる樹脂により素材を問わず強力に接着しながら強度を増していきます。
 又、従来の熱硬化性FRPに比べ耐候性に優れ、-30℃~200℃で使用出来る画期的新メンテナンス材であります。本製品は日本を始め世界各国で飛躍的に使用され、業種を問わず設備の延命化、作業時間の短縮、修繕コストの削減等、様々な分野で大きく貢献しております。
 そして、従来からのライニング工法に代わる環境にやさしい品質の安定した21世紀型補修材を各種プラント設備、構造物の延命化の切り札として提供してまいります。

特長

1:施工が簡単 ハサミ、カッターナイフ等で任意の形にカットでき、補修部に手で貼り付けるだけです。
2:施工時間の短縮 貼り付け補修部が紫外線(太陽光)によって35分~で強力に接着しながら強度を増していきます。
(屋内及び曇天の時は紫外線ランプで硬化させます)
3:作業環境に優しい 従来のライニング工法に比べて樹脂の調合など専門職を必要とせず、誰でも簡単に施工出来、ガラス等の飛散も無く安全でクリーンな作業環境を提供します。
4:品質の安定 収縮はほとんどなく、FRPシート化によって安定した強度と仕上がりが得られます。
5:施工後の処理が簡単 穴あけ、塗装、サンドがけが出来ます。
6:幅広い用途 防水性、絶縁性、耐候性、耐食性、耐衝撃性、耐熱性(200℃可)に優れ幅広い分野で使用できます。
7:公的機関での認定
  • JIS A 1322「建築用薄物材料の燃焼試験」による防炎1級に合格
  • 食品衛生法「食品添加物の規格基準」に適合
  • JWWA Z108:2004(日本水道協会規格)の「水道用資機材の浸出試験」に適合
  • 国土交通省新技術情報システム登録No.CB-990022-V

用途

  1. 適合材料
    金属、コンクリート、プラスチック、木材 等
    不適合材料・・・ポリエチレン・ポリカーボネート・ポリプロピレン・ガラス
  2. 用途分類
    (電 気)制御盤、モーター、電線管、プルボックス、ケーブルダクト、送電鉄塔、照明柱、空調機器、絶縁材料 等
    (機 械)タンク、配管、架台、保温材 等
    (土木建築)コンクリート、屋根、雨樋、橋桁、水門、フェンス、手すり、ガードレール 等
    (その他)アスベスト封じ込め対策、浴室、コンテナ、マフラー、車、ボート、木材、プール、排水トラフ 等
  3. ユーザー
    電力、ガス、通信、石油、化学、パルプ、セメント、船舶、鉄鋼、食品、電機、鉄道、上下水道、住宅、港湾施設、空港その他道路等のインフラ施設、他全産業に及ぶ

品番一覧

ウルトラパッチ
品番 品種 厚み 寸法 梱包
SU-155 ポリエステル樹脂 1.5mm 155mm×80mm 20枚/箱
SU-300 ポリエステル樹脂 1.5mm 300mm×225mm 10枚/箱
SU-450 ポリエステル樹脂 1.5mm 450mm×450mm 5枚/箱
R-1000 ポリエステル樹脂 1.5mm 900mm×10m ロール状1本/箱
VR-1000 ビニルエステル樹脂 1.5mm 900mm×10m ロール状1本/箱

※ビニルエステル樹脂は受注生産となります。
※シートの厚みに若干のバラツキが生じる場合が有ります。

技術資料

仕様

成分 不飽和ポリエステル樹脂(スチレン含有量6%)
ガラス含有率 約21%
比重 1.2
硬化後の厚み 1.5mm
耐油性 石油・植物・動物系油の使用に適します。
耐候性 外観変化なし
使用可能温度 -30℃~200℃(乾燥状態にて)
耐薬品性 お問い合わせください
形状 シートタイプ・ロールタイプ
保存期間 未開封にて6ヵ月
(室内暗所にて25℃以下で保存して下さい)

※より高い耐薬品性のビニルエステルタイプもご用意致しております。
※シートの厚みに若干のバラツキが生じる場合が有ります。

硬化時間の目安

光源 照射条件 硬化時間
太陽光 直射日光 35分~
曇り 60分~
紫外線照射装置
LED
5cm距離 20分~
紫外線照射装置
20W / 40W
20W 5cm距離 90分~
40W 5cm距離 90分~
紫外線照射装置
100W / 400W
100W 20cm距離 35分~
400W 20cm距離 35分~

物性

ウルトラパッチを紫外線照射装置40W を使用し、5cmの距離にて90分照射。紫外線強度 1500μW/cm2 , 紫外線波長 360nm付近

試験内容 規格 第三者機関データー
引張強度 JIS K 7161-1994 45.3MPa
曲げ強度 JIS K 7171-2008 124MPa
曲げ弾性率 JIS K 7171-2008 11500MPa
シャルピー衝撃値 JIS K 7111-2006 52kj/m2
絶縁破壊強さ JIS C 2100-2110 16.0kV/mm以上
引張せん断接着強さ JIS K 6850-1999 1630N
線膨張係数 TMA(熱機械分析) 2.9 10-5/K
水道用資機材 JWWA Z108-2004 適合
食品衛生法 厚生省公示 第307号 適合
燃焼性試験 JIS A 1322-1996 防炎1級
材料の難燃性 UL94 V-0に適合
耐圧試験※1 社内規格 (社内試験)1.2MPa
付着力試験※2 建研式 (社内試験)3.0MPa以上

※測定値であり、保証値ではありません
※1 耐圧性能試験参照
※2 材質: SS400 素地調整: サンドブラスト(ISO Sa2 1/2) 下地処理: PD プライマー

公的証明書

水道資機の浸出試験報告書

水道資機の浸出試験報告書
JW WA Z 108 : 2004-日本水道規格
財団法人化学物質評価研究機構発行

食品衛生法・食品添加物の規格基準適合証明書

食品衛生法・食品添加物の
規格基準適合証明書
財団法人化学技術戦略推進機構発行

「建築用薄物材料の燃焼性試験方法」による防炎1級による合格

JIS A 1322
「建築用薄物材料の燃焼性試験方法」
による防炎1級による合格
財団法人日本建築総合試験所発行


耐圧性能・防食性能

耐圧性能

耐圧性能試験(1)

600Aの配管にφ10の貫通穴を設け、ウルトラパッチ貼付・硬化後に0.7MPaにて150分放置し、漏水の有無の確認をおこなった。

貫通穴10mm
貫通穴10mm
試験用鋼管 600A
試験用鋼管 600A
ウルトラパッチ貼付
ウルトラパッチ貼付
0.7MPaにて150分放置
0.7MPaにて150分放置
評価

0.7MPaまで圧力をかけて、150分漏れがないことを確認し、付着力・耐圧性を有する材料であることを確認することができた。

耐圧性能試験(2)

450Aの配管に5mmの隙間を設けてウルトラパッチを貼付・硬化後に耐圧性能の評価をおこなった。

耐圧性能試験 耐圧性能試験の図解
評価

1.4MPaまで圧力をかけて、1時間漏れがないことを確認することができた。

耐圧性能試験(3)

SGP管にφ20の貫通穴を設けて、ウルトラパッチ貼代10mmにて耐圧試験をおこなった。

貫通穴20mm ウルトラパッチ貼付・硬化 手動ポンプにて加圧
貫通穴20mm ウルトラパッチ貼付・硬化 手動ポンプにて加圧
評価

1.2MPa以上を有する耐圧性能及び付着力があることを確認することができた。

防食性能

ウルトラパッチと塗装の防食性能比較

施工から9年経過した、ウルトラパッチ仕様と塗装仕様の外観・浮き確認をおこなった。

平成25年4月(約9年経過後)の状況写真

仕様 塗装 ウルトラパッチ
下地調整 3種ケレン 3種ケレン
第1層目 錆止め PDプライマー
第2層目 ふっ素樹脂塗装
(中塗り)
ウルトラパッチ
第3層目 ふっ素樹脂塗装
(上塗り)
ふっ素樹脂塗装
(上塗り)
評価

塗装仕様については、上塗り面が剥離し、一部においては錆の進行が確認された。

ウルトラパッチ仕様については、浮き、上塗り塗装の剥離、錆の進行は確認されなかった。

3種ケレンでの塗装塗り替えにおいては、ウルトラパッチ仕様の方が優れていることが評価できる。


照明柱基部での点検及び延命化のご提案

腐食の進行を抑止できている状況
施工前 3種ケレン プライマー塗布 ウルトラパッチ貼付 ウルトラパッチ貼付
施工前 3種ケレン プライマー塗布 ウルトラパッチ貼付
施工直後 7年経過 施工後 翌5年経過 施工後""/
施工直後
(平成12年4月)
施工後
(平成19年4月)
施工後
(平成24年4月)
健全な状況 健全な状況

ウルトラパッチを貼付することにより、空気と水の侵入を防止でき、多少の錆がのこっている状況でも腐食の進行は見られない。


水が入る要素となる場所までしっかりウルトラパッチを貼付することが可能な場合は、腐食の進行を抑制することが可能。予防保全及び外部の点検を容易にする目的としても使用が可能となる。

評価

平成12年4月に施工をおこない、平成24年4月に浮き・目視確認をおこなった。

3種ケレンにて、プライマー塗布後ウルトラパッチを貼り付けることにより、最低でも10年以上の防食効果が期待できる。

腐食が進行した状況ウルトラパッチの破断

腐食状況

ウルトラパッチ貼付

塗装後

ウルトラパッチ破断状況
補修後の管理について

施工不良、貼付不良にて腐食が進行すると、鉄が膨張しFRPに亀裂が入る(写真左)ため、外側から見ても腐食の進行がわかる。

今回この現場では、ウルトラパッチをGLまでしか貼っておらず、GLとウルトラパッチの境目より雨水等が入り込み腐食が進行し膨張することによってウルトラパッチに亀裂が生じた。

上記のことから、補修後も目視にて管理をおこなうことができる。

代表的な施工手順

橋梁・歩道橋

蹴上部(歩道橋)

蹴上部(歩道橋)

地覆部(歩道橋)

地覆部(歩道橋)

横桁部(橋梁)

横桁部(橋梁)

信号柱 地際部腐食補修

信号柱 地際部腐食補修

制御盤 地際部

制御盤 地際部

コンクリート

防油堤

防油堤

コンクリートクラック補修材 ウルトラコートによる補修

コンクリートクラック補修材 ウルトラコートによる補修

タンク

PAC槽

減肉により緊急補修

PAC槽

配管

薬液配管(ポリ塩化アルミニウム・苛性ソーダ)

外面腐食の予防保全・延命化措置

薬液配管(ポリ塩化アルミニウム・苛性ソーダ)

止水

排砂配管(水力発電所)

配管が完全止水出来ない構造のため、水圧がかかったままでの作業。

排砂配管(水力発電所)

雨水吐出管(下水)※設置後 約40年経過

交換が難しい大型配管(φ3600)に握りこぶし程度の孔が発生したため恒久的対策としてウルトラパッチを使用。
ウルトラパッチ 漏水個所: 3層 その他: 2層

雨水吐出管(下水)※設置後 約40年経過

漏油止め

主要変圧器(水力発電所)

主要変圧器(水力発電所)

施工に関する注意

ウルトラパッチ施工不具合のほとんどは、下地処理・硬化不足によるものです。下記の注意事項を必ず守って施工して下さい。
  • 脱脂について
    脱脂はアセトンの使用を推奨します。
    シンナー等は油分が残る可能性がありますので使用はしないで下さい。
  • ケレンについて
    2種ケレン推奨。現場の状況により、欠損する可能性がある場所については3種-Aケレン可。
    簡単に手でとれる錆等については、必ず除去して下さい。
  • プライマーについて
    目で見えない油分・水分等が付着している恐れがありますので、状況によりプライマーを塗布して下さい。
    必ずプライマーにタック(べたつき)がなくなってから次の処理をおこなって下さい。
         ※PDプライマー塗布後、24時間以内にウルトラパッチを貼付けて下さい。
         24時間以後は接着力が低下し、剥がれることがあります。
  • ウルトラパッチ施工条件について
    1) 5℃以下での施工について
      ウルトラパッチおよび施工対象箇所を少し暖めてから、ウルトラパッチの貼付をおこなって下さい。
      樹脂の特性により、温度が低い場合は付着力が弱くなるため暖めてご使用下さい
    2) 結露等の水分および油分がある場合での施工について
      ウルトラパッチは貼り付きません。乾燥状態にしてから施工をおこなって下さい
    3) 塗膜の上に貼り付ける場合
     阿南電機(株)に確認をとってから、設計及び施工をおこなって下さい。
  • ウルトラパッチ貼付について
    裏面(色付フィルム)を一度に剥がさず、3cmずつ剥がして施工箇所に貼り付けるようにして下さい
    又、汚れている手袋でウルトラパッチ付着面に触れると、汚れや油等が付着し、ウルトラパッチの施工不良となります。
    貼付をおこなう場合は、クリーンな手袋を使用して貼付をおこなって下さい。
  • ウルトラパッチ貼付方法について
    長い(300mm以上)ウルトラパッチの貼付をおこなう場合は、紫外線が当らない場所で丸めてからご使用下さい
    太陽光により、貼付をおこなっている最中に硬化してしまい付着しない恐れがあります。
    日昼の屋外等での施工は硬化が早い為、日除け等で直射日光を受けないようにして迅速におこなって下さい
    貼付後、ローラー等で端部処理を必ずおこなって下さい。
  • ウルトラパッチ硬化方法について
    直射日光もしくは、紫外線照射装置を使用して硬化をさせて下さい。
    表面だけが硬化し、中まで硬化していない場合は硬化不良をおこし付着力に影響を及ぼします。
  • ウルトラパッチ重ね貼りについて
    1枚目を確実に硬化させてから2枚目の貼付をおこなって下さい。
  • ウルトラパッチ硬化後の塗装について
    表の透明フィルムが張り付いたままになっていないか確認後、サンドペーパーで軽く目荒しをおこなって下さい。
  • ウルトラパッチ施工後の管理について
    補修後の管理についてをご参照下さい。
  • 保管方法 : 25℃以下の冷暗所に、水平になるように保管して下さい。又、商品の上に物を載せないで下さい。
  • その他
    ウルトラパッチとウルトラシールの付着について
    ウルトラシール硬化後には、ウルトラパッチは付着しないためウルトラシールを再度塗布してから貼付をおこなって下さい。
紫外線照射装置取扱いでの注意点

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